早いもので土田の里が設立されて10年がたちました。当初は障害者デイサービス事業から始まり、2年目の春に児童デイサービス事業を始めました。今を思えば隔世の差があります、10年はあっという間ですがこの間に法律が2度変わり、サービス内容も以前とはがらりと変わりました。
私たちは施設職員としては古い時代の職員ではあります、今は言いませんが精神薄弱者とか精神薄弱児といわれていた時代からの職員です。理事3人がともに児童施設出身者ですが施設勤務の始まりが、精神薄弱児施設と呼ばれていた時代でした。
今の子供たちは幸せだと思います、障害に対する理解も進んでいます。まだまだ途上ですが療育という面での学問、学術的な進歩も著しい状態です。自閉症児の子供たちの理解も進みました。昔は自閉症児という概念はありませんでした。自閉症という言葉はありましたが、言葉だけでどういう形で接していけばいいのか系統つけられたものは皆無でした。児童施設での生活は毎日が楽しかった記憶が多くあるのですが、バタバタとやたら忙しく日常生活のお世話だけで毎日が終わっていたという感じがします。
宿直明けの朝は、着替え、おしめ交換、布団あげ、洗濯、検温、これらを一人でします。このほかにもハプニングあり、とにかく何が起きるかわかりません。こうしているうちに、早出の職員が出勤してきます。食事が始まってもいろいろなことが起きます。食事の介助が大変でした。そのあとは洗い物、学校へ行く準備、学生服の着替えがあります。学校へ行くのも大変です。施設の敷地の中に学校があるのですがぐずっていこうとしない子供、走り出す子供。かと思うと元気に笑顔で登校する子供。てんやわんやです、しかしあれやこれやして学校について教室に入っていくのを見ると、充実した気持ちになります。一仕事終えてやれやれということだと思いますがいまだにこの時の光景が忘れられません。先生たちも若い先生が多く、あのころの先生が今は県下各地の支援学校にお勤めしておられ時々今もお会いしています。また児童相談所の児童福祉司の何人かは、児童施設を昔経験された方もおられ、施設は違いますがあのころはどうだった、こうだったなど、昔話に花が咲くこともあります。昔、お世話させていただいたお子様が立派に成人され、ごく普通にお勤めをされているという話もよく聞きます。今も児童の入所の事業所は同じ光景かと思います。20年以上も昔の経験、出来事ですがこれらの経験を無駄にはせず子供たちを理解し、ともに成長させていただくという気持ちを常に持ちこれからも今までの10年と同じく頑張って行きたいと考えています。